今、映画『沈黙の50年』を観る意義とは

関連情報

映画『沈黙の50年』とは?

映画『沈黙の50年』とはどのような作品なの?

映画『沈黙の50年』とは、
「旧優生保護法」のもと不妊手術を強制されたろう夫婦の長く苦しい闘いを描いたドキュメント作品です。


「旧優生保護法」
により、多くの聴覚障がい者が自分の意志とは関係なく不妊手術され、子どものできない身体にされてしまうという、今では考えられない政策が国主体で平然と行われていました。

妊娠するたびに中絶手術を受けさせられたり、本人には何の説明もなく断種手術や不妊手術を受けさせられていたり…

たくさんの聴覚障がい者が、障害を理由に、自分の意志とは関係なく子を産み育てるという人として当たり前の権利を奪われました。

被害者たちの、子どもを持てないという悲しみや苦しみは、たとえ50年経っても消えることはありません。

 

映画『沈黙の50年』は、悲しみと怒りを胸に、50年という長い長い期間、沈黙を貫いていた被害者たちが、勇気をふり絞って語ってくれた証言を丁寧にひろいあげ、映像化した作品です。

全国各地で上映会を開催しており、この12月には群馬県高崎市で上映されます。


ついこの前までこのような残酷な法律が、日本に実際にあったという事実を知るためにも、

耳が聞えないというだけで子どもを産み育てるという権利を奪われた人たちがいたということを知るためにも、

手話関係者に限らず、全国民が観るべき作品だと思います。

 

2024年7月、最高裁が「旧優生保護法」が憲法違反と判断、国に賠償を命じました。

「旧優生保護法」について連日、テレビや新聞などが大きく報道しました。

しかし、2か月近くたった今はどうでしょう。

報道に限らず、ほとんど話題に上がらなくなってしまったように感じます。

今回、この『沈黙の50年』の映画上映を前に、今一度「旧優生保護法」について考えてみたいと思います。

そもそも旧優生保護法とは?

「旧優生保護法」っていつからいつまであった法律なの?

1948年に制定され、なんと1996年まで施行されていた法律です。

そもそもどういう目的で作られた法律なの?

この法律はナチスドイツの優生思想を受け継ぎ、「不良な子孫」の出生を防止し、母体の健康を保護するという目的で作られたものです。

実際にどのようなことが行われたの?

この法律の下、遺伝性疾患や知的障害、精神障害があるとされた人々に対して、本人の同意なしに強制的に優生手術(不妊手術)や人工妊娠中絶が行われました。

 

※ 1996年には母体保護法に改正され、優生思想に基づく条項が削除されました。

 

旧優生保護法での聴覚障がい者の被害者数

「旧優生保護法」の下、遺伝性疾患や知的障害、精神障害があるとされた多くの人々が不妊手術を強制されました。

遺伝性疾患のなかに聴覚障がい者も含まれており、多くの聴覚障がい者もまた、「旧優生保護法」の被害者となりました。

 

旧優生保護法による強制不妊手術の被害者数は、国の調査では約1万6500人とされています。

その中でろう者の被害者数ははっきりわかっていませんが、2018年の調査では109名が確認されています。

旧優生保護法の被害者たちの闘い

2018年に宮城県の女性が初めて国に対して賠償を求める訴訟を起こし、この動きが全国的に広がっていきました。

被害者は支援団体や弁護士会と連携し、相談会を通じて法的支援を受けました。

その後、訴訟が大々的に報道され、社会問題として再認識されるきっかけとなりました。

・2024年7月3日 最高裁は旧優生保護法の違憲及び同法の立法の違法を断じ国の損害 賠償責任を認めた

・2024年10月8日「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給に関する法律」が参院本会議で全会一致で可決、成立。

・また、「旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪その被害の回復に関する決議」が両院本会議で採決された。

旧優生保護法の被害者賠償について

「旧優生保護法」の被害者に対する賠償は、

強制不妊手術を受けた本人:最大1500万円の補償金が支給
配偶者:500万円の補償金が支給

なお、一緒に訴訟を起こしていない被害者も手続きをすると、同様に慰謝料を受け取ることができます。

※ 「こどもまんなかこども家庭庁」の「旧優生保護法による優生手術等を受けた方へ」という特設ホームページに手続きについてなど動画で詳しく掲載されています。

さいごに(今後の『沈黙の50年』上映予定)

「旧優生保護法」について調べれば調べるほど、本当に1996年まで実際に日本にあった法律なのか信じられない気持ちでいっぱいになる。

今回は聴覚障がい者に焦点を当てて書いていったが、聴覚障がい者に限らず本当に多くの障がいを持つ人々が被害に遭われている。

・信じていた親にブライダルチェックだと言われて婦人科に連れていかれて不妊手術をされた。

学校や役所が主導して学校の保護者会で不妊手術を勧めていた。
・出産後に勝手に不妊手術をされていて、産んだ子供も死産にされた。

・16歳の時に何の説明もなく不妊手術を受けさせられた。

など少し調べただけで、心の痛む話がどんどん出てくる。

このような法律が二度と成立しないよう、きちんと事実を知り考えていく必要がある。

映画『沈黙の50年』

高崎では12月14日に上映される予定である。

ぜひ多くの人に観てもらいたいと思い、今回ブログに取り上げてみた。

関心が少しでもある人はぜひ観に行ってほしい。

ちなみに、上映前に全日本ろうあ連盟前理事長石野 富志三郎氏の講演もあるので、個人的にとても楽しみにしている。

最後に、今後の映画『沈黙の50年』の上映予定について載せておきますね。

2024年12月8日 旭川市障害者福祉センター「おびった」2階体育館(北海道)

2024年12月8日 石垣市役所1階コミュニティルーム(沖縄)

2024年12月14日 高崎市総合福祉センターたまごホール(群馬)

2025年1月11日 吹田市立メイシアター(大阪)

2025年2月15日 大谷大学響流館3階メディアホール(京都)

2025年2月23日 大阪市立北区民センター2階大ホール(大阪)

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました