この1~5は、私が手話通訳者養成講座の試験を受ける前の1か月間に実際にやっていた勉強の全てです。(私が現在住んでいる地域は、この養成講座を受講するにあたり試験があります。)
これを毎日毎日繰り返し行いました。
この方法は試験対策に自分で考えて行ったのですが、やればやるだけ手話サークルでろう者の手話を読み取れるようになり、やればやるだけ自分の思いを手話で表せるようになっていきました。
ありがたいことに試験も無事通りました。
(手話通訳養成講座に入ってからはまた大変だったのですが、ここでは割愛させていただきます。)
要するに、「手話を見慣れること」「手話の基礎を身体にたたきこむこと」「手を動かすことに慣れること」「単語数を増やすこと」が重要ポイントだと思います。
次に1~5のやり方を具体的にご紹介しますので、ぜひご覧ください。
手話関係者から「邪道だ!!」と言われるのを覚悟して言いますが、YoutubeやDVDを最大限活用してください。
やはり言語は毎日の積み重ねです。
週1回生のろう者に会って、生の手話を見るだけでは(それが一番大事なのですが…)、手話の読み取りは上達しません。
Youtubeには生のろう者がたくさん動画を投稿しています。
動画なので、同じところをわかるまで何度でも繰り返して見ることができ、朝でも晩でも時間帯を気にせず見ることができます。
また、いろいろな地域の手話を見ることができたり、全日本ろうあ連盟などの団体の動画も見ることができたりと、Youtubeを見る利点はたくさんあります。
DVDもYoutube同様に手話に関するものがたくさんあり、魅力的な手話表現を自宅で何度も見ることができるのでおすすめです。
1日5分でもいいので手話を毎日見ることを習慣にしてみましょう。
とりあえず初めはわからなくてもいいので、手話を毎日見るようにしていると、次第にところどころ読めるところが増えてくると思います。
「手話を見慣れること」は思った以上に大切なポイントになってくると思います。
私は外出すると、必ず看板の文字(例 〇〇医院、○○不動産など)や車のナンバープレート(例静岡503 め 30-40など)を指文字&手話で表すゲームをしています。
そして、どうやって表すのかわからない時はスマホで調べたり、それでもわからなければメモしておいて家で辞書で調べたり、それでもわからなければ手話サークルのろう者に聞いたり…
地道に単語数を増やしたり、指文字の特訓をしています。
これが意外と難しく、レストランや結婚式場の名前なんかを指文字でやろうとすると普段表さないような、例えば…ヴィラデマリアージュみたいな指文字で表すのが難しい言葉が出てきたりするので、よい訓練になります。
最初は指文字で表すだけでも指がつりそうになるくらいでも、徐々に考えなくても指文字が自然とでるようになります。
手話を始めたほとんどの人は、「あいうえおかきくけこさしすせそ…」とあいうえお順に覚えます。しかし、それだといざ指文字で表そうとすると、「あいうえおかきくけこ…」と1字1字あいうえお順に考えながら表さなければならず、表している本人も大混乱だわ、ろう者にも伝わらないわと、せっかく覚えても悲しい結果になります。
はじめは本当に簡単なものからでかまいません。
犬が散歩していたら「いぬ」、
花が咲いていたら「はな」、
人が歩いていたら「ひと」 と表してみてください。
それができるようになったら、今度は「かんばん」「でんとう」「かいだん」「びょういん」など徐々に難易度を上げていってみてください。
そんなに難しく考えずに、自分のできるところから少しずつやっていくと、自分は「ちゃ」や「しょ」などの小さい文字が入ると手が動かなくなるな…とか
「じ」「だ」とか濁点は単体ではできるけど、他の文字とくっつくとできなくなるななどと自分の苦手な部分がわかってきます。
そしたら、その自分が苦手だなと思う文字を積極的に見つけてやってみると意外と徐々にできるようになっていくと思います。
指文字が大体できるようになってきたら、今度は手話でも表してみてください。
これが結構難しく、私は今でもよく道端で単語を調べています(笑)
皆さんの多くは市が主催している手話奉仕員養成講座を受講していると思います。
(受講していない方は、何でもいいので入門書を1冊購入してみてください。とりあえず1冊だけで大丈夫です。)
そこで使用したテキストをもう一度しっかり読み直してみてください。
手話表現の重要ポイントやろう者の歴史など、これから手話をやっていく上で非常に大切な内容がたくさん詰まったとてもよい教材だと思います。
なかでも私がおススメするのは、書いてある内容をすべて手話で表してみるという方法です。
少し難易度が高いと思われた方はテキストを読んで、載っている例文や単語をしっかり覚えてみてください。
(※なお、このテキストに載っているのは地元の手話表現とは違うものも多いです。
しかし、テキストに載っている手話表現も、地元の手話表現もどちらも大切なので、大変ですがどちらも覚えておくとよいと思います。)
ちなみに私は時間をかけて、テキストをすべて自分なりに手話に翻訳してみました。
わからない単語のオンパレードで、はじめはほとんど辞書に首っ引きになっていました。
しかし、これも慣れてくると徐々にわかる単語が増えていき、何も考えなくても使える単語が少しずつ少しずつ増えていきました。
まずは、1冊。
テキストをこれでもか!と読み込んで、ここにある単語はすべてわかる!!と思えると非常に自信につながると思います。
※ちなみに、手話通訳者になるために合格しなければならない試験(手話通訳者全国統一試験)にはこの手話奉仕員養成講座のテキストからの出題もありますので、一石二鳥です(笑)
『NHKみんなの手話』。
手話をやっている人には見ている人も多いかと思いますが、とても良い教材です。
特に私がおススメしているのは、解説を含め出てくる手話を全てシャドーイングする(手話表現に遅れないように表情・強弱・間などを全て真似して表す練習)方法です。
『みんなの手話』に出てくる演者の方はいつもわかりやすく素敵な手話表現をされているので、シャドーイングにはもってこいだと思います。
手話の知識だけに限らず、ろう者のことやろう文化など様々な面についての情報を得ることができるため、手話やろう者についての幅広い知識を得ることができるという点においても最適だと思います。
私はこのシャドーイングを練習するようになってから、表情や手話のリズムや強弱、間のあけ方などを意識してできるようになってきたように思います。
(意識せずにできるようになるまでには、まだ時間がかかりそうですが…)
最後はなんといっても、一番重要な「単語数を増やすこと」です。
正直一番めんどくさいところではありますが、やはり一定数「単語」がわからなければ全く手話は読み取れません。
しかし、やみくもに覚えても覚えきれないので、私がおススメするのは全国手話検定試験の5級から4級、3級と順々に、DVDに収録されている全ての単語を丸暗記するという方法です。
まるでスポコン…
という声が聞こえてきそうですが、こればかりは仕方がない。
どの言語を学ぶにしても単語や基本文をある程度丸暗記しなければ、会話になりません。
これは残念ながら、頑張るしかないのです。
しかし、朗報です!!
5級の単語を覚えると、ろう者の話がいつもより少し読み取れるようになります。
4級の単語を覚えると、ろう者の話でほかの人に遅れずに笑えるようになります。
3級の単語を覚えると、ろう者から「手話が上手だね」と言われるようになり、聴者から「あなたは手話ができるから~」と言われるようになります。
※ちなみに、ろう者から「手話が上手だね」と言われるのはまだまだな証拠です。
「手話ましだね」と言われるのは少しうまくなってきた証。
「手話へた!もっと頑張れ!」と言われるのはだいぶ上手になったということだそうです。
(これは、手話通訳士の母の言葉です)
いかがでしたでしょうか。
簡単なものから難しそうなものまで色々あったかもしれません。
手話は日本語とは違う言語なので、やはり習得するには努力も時間も必要になると思います。
しかし、「努力すればするだけろう者と会話ができるようになる。
話しかけてみよう!と一歩踏み出すことができる。」
そう思えば、乗り越えられる壁ではないかと思います。
私みたいに(試験まで時間がなかったもので…)一気に5つすべてを実践しなくてもいいです。
1つ1つできるところから挑戦してみていただければと思います。
でもその一方で、集中して勉強する期間を作るというのもいい方法だと思います。
1か月集中して全部をこなした私は、急激にろう者と話せるようになり、ろう者の方から話しかけてもらえるようになりました。
皆さんもぜひ5つの方法を試してみてほしいと思います。
一緒にろう者との会話を楽しみましょう!
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