どうしても手話が上達しない
長年手話サークルに通い、手話の講座にも片っ端から通い、それでもどうしても手話が上達しなかった私。
こんなにも時間を費やしているのに、なぜこんなにも習得できないのか…
今回、その理由を本気で考えてみました。
すると、あえて目をそらしていたと思われる3つの理由がわかってきました。
私と同じく、どうしても手話が上達しない。
でも、どうしても手話を習得してろう者とおしゃべりしたい!!と思っている方。
もしかしたら、私と同じ罠にハマっているかもしれないので、これから書く3つのことを自分のこととしてちょっとだけ見直してみてもいいかもしれません。
私が本気で手話を習得するためにやめたこと 3選
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人に頼る
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笑ってごまかす
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めんどくさがる
手話の上達を妨害していると思われる3つのこと、「人に頼る」「笑ってごまかす」「めんどくさがる」について、これから少し詳しく書いてみたいと思います。
人に頼る
手話のできる人が近くにいると、どうしても頼りたくなるし通訳してほしくなると思います。
そのほうが早いし、楽だから。
でも、それでは本当の意味でろう者とのコミュニケーションをしているとはいえないのではないでしょうか。
手話サークルに通っていると、手話はできなくても、ろう者と仲良くお話している人がいることがわかります。
そういう人は、たとえ話している内容がわからなくても、そのろう者本人にそのつど聞いて、教えてもらっています。
誰かほかの人に通訳してもらおうとはしていません。
そして、なんとかわかろうと、ろう者の手話を一生懸命見ていました。
そういう思いがやはりろう者に伝わるんだろうなと思います。
私は昔から、手話ができる母が近くにいたので、わからなければいつも母に聞いて通訳してもらっていました。
そのため、何かわからないことがあると、今でもつい誰かに聞きたくなってしまいます。
できる人に頼りたくなります。
でも、それではいつまでたっても今のまま。現状維持。できないまま。
ある時、もう「人に頼る」のをやめようと決めました。
それから、手話サークルに行ったら自分からろう者に話しかけてみることにしました。
初めはたまたま隣に座っていたろう者の人。
次はたまたま階段で一緒になったろう者の人。
その次は…と、せっかく手話サークルに行ったのだからろう者の人と会話せずに帰ってくることだけはやめようと心に決め、人見知りを押し殺し(笑)、話しかけてみることにしました。
すると初めは、今まで話しかけてこなかった私に突然話しかけられ、若干不審な目で見られていた感はありますが、今ではろうの人から話しかけてくれるようになりました。
まだまだ人見知りの殻から抜け出しきれず、時々殻の中に閉じこもりたくなることもあります。
しかし、「手話が上手になりたい!」「ろう者ともっと話がしたい!」「なんなら通訳になって、今度は自分がろう者のお手伝いができるようになりたい!」との思いでなんとかこらえて頑張っています。
(いや、でも頑張らずに自然体で仲良くなっている人を見ると本当にうらやましい気持ちでいっぱいになります…)
笑ってごまかす
1と同様に、私は昔からわからなくてもわかったように振る舞う癖があって、今でも気を抜くとわかったかのように笑ってごまかしてしまう。
それは、ろう者に対してだけではなく、実生活でもついやってしまう癖なんです。
良くないとは思っても、人の会話を止めてまで自分がわからなかったところを聞くというのが、どうしてもできないのです。
でも、それでも、言語を学ぶ上では弊害この上ないと考え、この「ごまかし」病をやめる決意をしました。
今回は実生活でもよくやってしまっていたので、まずは日常生活から「笑ってごまかす」ことをやめる練習をしました。
わからないことはその場で聞く。
わからなければ何度でも恥ずかしがらずに聞く。
笑ってごまかさない。
人間、やると決めたら、意外とできるものなのですね。
日常生活でだいぶできるようになってきたので、いよいよ手話サークルでも実践してみることにしました。
迷惑かも…何度も聞いて申し訳ない…という思いをこらえて、ろう者にわかるまで何度も聞いてみました。
すると、ろう者の人は粘り強く何度も何度も教えてくれました。
ああ、私は今までわからなくても笑ってごまかしてきたけれど、こうやって、「一生懸命話を聞きたい!」「あなたの言葉を理解したい!」と一度でも本気でろう者の手話を見てきたことがあっただろうか。
「あぁやっぱりわからない…誰か助けて~通訳して~!」とすぐ人を頼って、自分でなんとか読み取ろう!言っていることを理解しよう!と心の底から思っていたわけではなかったということに気づき、愕然としました。
恥ずかしい。
自分が全然本気ではなかったのに、
手話全然上達しないな~
才能かな?性格上の問題かな?
いやいや今の環境がよくないのかな?
なんて考えていたかと思うと、本当になさけなくて涙が出ます。
会話を止めるなんて悪いな。何度も聞くなんて恥ずかしいな。
なんて考えて今までわからなくても「笑ってごまかし」てきたけれど、それは目の前の人に対して非常に失礼な行為なのだということを今回身に染みて感じました。
めんどくさがる
最後に、「めんどくさがる」です。
手話サークル最大のめんどくさいこと。
それは…役員になることです。
やらなきゃいけないことが増えるし、何かにつけて色々言われるし、正直めんどくさいことばかりなんですよね…
そのうえ今年は娘の幼稚園のPTA本部役員、町内会の役員なども兼任しており、いやさすがに今年は手話サークルの役員は厳しいだろう…
と思っていたのですが、なんだかんだでなぜかやることになってしまいました。
しかし、やってみると意外とメリットも多いことがわかりました。
- ろう者に顔を覚えてもらえる(これが最大のメリットだと思う)
- 人前で手話をする機会が増える(通訳を目指している人には最高の練習の場になる)
- グループの回し役になる為、自然に手話で会話する機会が増える(私みたいに自分からなかなか発言できない人は、役があったほうが会話に参加できる)
- サークル運営の難しさがわかる(外から見ているだけだとわからないことも、内に入るとどれだけの人の手によってサークル運営が成り立っているのかということがわかる。)
めんどくさいと敬遠しがちな手話サークル役員ですが、意外にもメリットたくさん!!
ぜひめんどくさがらずに一度手話サークル役員をやってみてください。
この他にもたくさんメリットがあること請け合いです。
さいごに
今回は、本気で手話を習得するためにやめたこと3選について書いてみました。
「人に頼る」「笑ってごまかす」「めんどくさがる」は、意外と当てはまる人も多いのではないかと思います。
要は、本気で真正面から手話に取り組もう!!ということです。
語学習得は手話に限らずなかなか成果が見えず、地道な努力が必要です。
手話は英語や中国語などと同じく、日本語とは異なる言語なので、残念ながら片手間で覚えられるものではありません。
しかし、腰を据えて粘り強くひとつひとつ階段を上っていけば、いつか自分が思ってもみなかった未来にたどりついているかもしれません。
先日、あるろう者の人が「あなたが通訳になるのを楽しみにしているよ」と言ってくれました。
彼女は軽い気持ちで声をかけてくれたのかもしれない。
でも、私はその言葉に心が沸き立つのを感じました。
私はおそらく一生、彼女がかけてくれた言葉を忘れないと思います。
その言葉を胸に今日も手話の勉強に励んでおります。
手話は奥深く、魅力的な言語です。
なかなか上達しないな…手話向いてないのかな…
なんて壁にぶち当たっている人がいれば、今日の3つのことを思い出して、ろう者や手話に一度本気の本気で向き合ってみてください。
きっと何かいい変化を、自分にもたらしてくれると思いますよ。
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